しっぽが鍵型の黒色の野良猫がばあちゃんのところに来て、
ニャーニャー鳴いては、こっちだよと促す。
どうもお腹に赤ちゃんがいるみたい。
自営業で仕事中のばあちゃんが困っていると、亡くなった父が、
「母さんついていってやれ」
ついていくと隣の家の納屋へ。
「ここで寝てるよ」
ばあちゃんはさすがに人の家には入れないから家に戻ってきた。
その夜、鍵しっぽのクロちゃんは大きなお腹を抱えて、うちの家の屋根裏に引っ越してきた。
「母さん、もう飼ってやれ。お腹に赤ちゃんおるし、しょうがないでない」
で、飼うことに。
お腹も大きくなりいよいよお産かなというある日。
クロちゃんはばあちゃんが動くとついてくる。
見かねた父は、
「母さんついとってやれ。
手握っとけ。」
そしてお産が始まった。
一晩中手を握り続けて明け方真っ白な赤ちゃんが産まれた。
仕事に戻ろうとしたばあちゃんの後をクロちゃんがついてきた。
父「いかん!母さん産まれよる」
2匹目が見えていた。
父はウエス(古着を裁断したもの)で出てきていた赤ちゃんを掴んで引っ張り出した。
ダメだったけど。
初産のクロちゃんはお産が怖くてばあちゃんを探しにきた。
ばあちゃんと父さんは助産婦さんやね。
誇りに思う。
父さん、私も父さんに取り上げて欲しかったな~