守らないかん
寝静まった深夜、
「シャーーッ」
「フゥーーーッ!」
猫の威嚇する声。
以前飼っていた猫の匂いが残っているらしく、よく野良猫がやってくる。
すると、隣の部屋で寝ていたばあちゃんが
「くろちゃん家におる?」
くろちゃんは天国に行って5年になる。
私「くろちゃんは、もうおらんよ」
聞こえていないのか、
「くろちゃんおる?」と繰り返す。
今度は大きな声で
「おるよ!!」
ばあちゃんが安心したように言った。
「ありがと」
翌朝、昨晩の事を訊いてみた。
ばあちゃんは笑いながら、
「守らないかんと思って咄嗟にでた」
ばあちゃんの中に今もくろちゃんがいる。
小さくて、
かわいくて、
暖かくて、
柔らかい
くろちゃんがいる。
守らないかん。
ほんまやね。
守らないかん。
今も天国のくろちゃんはばあちゃんに守られている。